投資用マンションの売却の流れと必要書類|損をしないためには

投資用マンションの売却を考えているなら、まずは売却するまでの流れを確認することから始めます。そして、売却に必要な費用の確認、必要書類の確認も併せて行いましょう。
一般物件を売る場合と比べて、投資用マンションの売却は、より専門的な知識を要します。そのため、専門知識のある不動産会社を見つけ、相談することが、売却成功の鍵を握る重要なポイントです。売却で損をしないために、よりよい不動産会社を見つける方法も学んでおきましょう。

1. 投資用マンションを売却するまでの流れを確認

投資用マンションを売却する際には、下記の流れになります。

売却相談
査定
媒介契約
売却活動
購入希望者と交渉
売買契約
引き渡し・決済

1.1 売却相談

投資用マンションは売却益を目的にしており、居住を目的にしている一般物件よりも専門的な知識が必要になります。そのため、実績があり専門知識も深い不動産会社を見つけて相談することが大切です。投資、法律、税金、金融、経費などの専門的な知識を相談したら、的確に回答してくれる不動産会社であれば、安心して売却まで任せることができます。
ただ、すべて不動産会社に任せるのではなく、自分自身もできる限り知識を得ておくことが前提です。ローンの残債、購入時の売買契約書、権利証、図面など、売却予定の不動産に関する最低限の情報は事前に確認し、把握しておきましょう。売却相談ができる優良な不動産会社を見つけるためには、いくつかの不動産会社に相談しに行って比較する方法や、複数社に査定を依頼して比較する方法があります。

1.2 査定

よりよい不動産会社を見つけるためには、なるべく複数社の査定を比較すると良いです。インターネットで無料一括査定ができるサービスを利用すれば、簡単に複数社の査定を比較することができます。
不動産会社は、売却予定物件の築年数、周辺の類似物件の売買事例、路線価、公示価格、入居者との賃貸契約の状況、管理状況など、様々なことをチェックして査定。不動産会社により査定方法は色々あるので、それぞれの査定価格が大きく異なることがあります。
複数社の査定価格を比較して、媒介契約を結ぶ不動産会社を決定。その後、査定価格をもとに、打ち合わせや相談を重ねて、売り出し価格を決めることになります。ただし、査定価格はそのまま売却価格になるわけではありません。実際には、買主希望者との交渉後、売り出し価格よりも低くなることが多いです。

1.3 媒介契約

売却のサポートを任せたい不動産会社を見つけたら、媒介契約を結びます。媒介契約には「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があるので、その内容も確認して選択しましょう。
専属専任媒介契約と専任媒介契約は、不動産流通機構レインズへの登録が義務。さらに、契約期間は3カ月が上限と決まっています。一般媒介契約は、不動産流通機構レインズへの登録や契約期間等の決まりがなく、最も緩やかな契約です。下記を参考に、もっと具体的に内容を確認していきましょう。

専属専任媒介契約

仲介を依頼するのは特定の不動産会社のみで、他の不動産会社には依頼できません。契約した不動産会社は、依頼主に対して1週間に1回以上、売却活動の状況の報告義務と、不動産流通機構レインズへの登録義務があります。また、依頼主が購入希望者を見つけることは不可能です。

専任媒介契約

仲介を依頼するのは特定の不動産会社のみで、他の不動産会社には依頼できません。契約した不動産会社は、依頼主に対して2週間に1回以上、売却活動の状況の報告義務と、不動産流通機構レインズへの登録義務があります。また、依頼主が購入希望者を見つけることは可能です。

一般媒介契約

複数の不動産会社に仲介を依頼することが可能。売却活動の報告義務や、不動産流通機構レインズへの登録義務はないです。また、依頼主が購入希望者を見つけることはできます。
一般媒介契約は、他の不動産会社で仲介が決まると手数料を獲得できません。そうなると宣伝広告費が無駄になってしまうので、積極的に宣伝活動を行ってくれないこともあります。売却成功のためには、一般媒介契約の選択は避けたほうが良いでしょう。

1.4 売却活動

媒介契約を結んだ不動産会社は、買主を見つけるために、さまざまな売却活動をします。売却活動の内容も不動産会社により様々です。例えば、不動産流通機構の登録をはじめ、ホームページに不動産情報を公開、不動産投資物件サイトに公開、不動産会社の会員にDMやメールで通知、新聞折込チラシ等の広告などを行います。
一般媒介契約でなければ、不動産会社から売却活動の報告があるので安心です。購入希望者が現れたら、物件内覧により実際に見てもらうことになります。内覧で良い印象を持ってもらうために、できる限り清掃やメンテナンスをしてきれいにしておきましょう

1.5 購入希望者と交渉

内覧で購入希望者に気に入ってもらえたら、購入希望者と交渉が始まります。価格をはじめとする様々な購入条件を提示してくる購入希望者がほとんど。売り出し価格よりも低い価格で売るケースが多いです。
値下げ交渉、その他の条件の交渉は、なるべく購入希望者の意見に沿えるようにしたほうが良いのですが、損をしないために自分の意見をしっかりと持っておくことも重要。譲れる点と譲れない点は、交渉前に明確にしておきましょう

1.6 売買契約

交渉が成立し、買主と契約条件の合意に達したら、売買契約を行います。手続きの流れは、まず買主に対して「重要事項説明書」の説明。そして、「売買契約書」を交わします。
この売買契約のときに買主から「手付金」を受領して契約が締結。手付金の額は、売買代金の5%~20%の範囲内が一般的です。契約が締結したら、取引内容や権利・義務の内容が確定したことになります。

1.7 引き渡し・決済

引き渡しまでに、「登記の準備」、「物件の確認」、「退去」を済ませておかなくてはなりません。「登記の準備」ですることは、住宅ローンの抵当権の抹消と所有権の移転登記です。
「物件の確認」ですることは、建物や設備の状態を現地で確認して、不具合や欠陥がないかをチェックします。また、引き渡せる状態にするために「退去」を済ませておかなくてはなりません。自分が住んでいるのであれば引っ越しをするだけで良いのですが、人に貸している物件であれば、賃借人付きで売る場合を除き、賃借人に退去してもらう必要があります。
他にも、固定資産税納付書、権利証、印鑑証明書など、各種書類を用意しなくてはならないので、早めに準備をしておきましょう。引き渡しのときには、残代金の受け取り、固定資産税の精算、登記の申請、鍵の引き渡し、賃貸契約の引継ぎなど、さまざまな手続きがあります。

1.8 査定から決済までにかかる日数の目安

査定から決済までにかかる日数の目安を確認しておくと、心構えができ、準備も進めやすいです。ただし、売りたいマンションの条件や市場の流れなどにより、日数は大きく異なります。あくまでも目安として参考にする程度にしましょう。

  • 査定から媒介契約が締結は約1~2週間
  • 売却活動は約2カ月~1年
  • 売買契約から引き渡し・決済は約1カ月

一般的には、売却までにかかる期間は3カ月程度、長くて半年以上とされています。人気があるマンションであればすぐに買い手が見つかりますが、そうでなければもっと日数がかかる可能性があるということを頭に入れておきましょう。
{
・専門知識のある業者に依頼
・査定額=売却額ではない
・売却まで3カ月以上かかる
}

2. 投資用マンションの売却に必要な費用

投資用マンションを売却する際には、さまざまな費用がかかります。1つずつ具体的に確認していきましょう。

2.1 不動産会社へ支払う仲介手数料

投資用マンションを売却する際には、不動産会社に仲介を依頼することがほとんどです。その場合、不動産会社に仲介手数料を支払います。
仲介手数料は「売却価格の3%+60,000円+消費税」が上限です。基本的にはこの金額になりますが、不動産会社によってはもっと安くなる場合もあるので、不動産会社を決める際に確認しておきましょう。
仲介手数料は売却が成立したときに、成功報酬として支払います。売買契約を結んだ際に半額を支払い、引き渡しのときに残りの半額を支払うことが一般的です。

仲介手数料=売却価格の3%+60,000円+消費税

2.2 売買契約書にかかる印紙税

印紙税は物件の売買価格により決められており、契約書に記載されている金額を支払います。売買契約書は2通あり、1通は売主、もう1通は買主が負担。売買契約書に定められた金額を印紙を貼って消印し、印紙税を納めます。
税額は、売買金額が1,000万円~5,000万円以下は10,000円、5000万円~1億円以下は30,000円です。この金額は、2020年3月31日までの軽減措置が適用された金額なので、その後の税額については国税庁のホームページで確認しましょう。

2.3 抵当権抹消登記の費用

売却するマンションの住宅ローンが残っていた場合は、抵当権を抹消する登記費用が必要です。「抵当権抹消登記」は司法書士に手続きを依頼することが多く、登録免許税や司法書士への報酬も含めて20,000~30,000円程度かかります。
また、売却する際には所有権を買主に移転する「所有権移転登記」も必要です。こちらの所有権移転登記の費用は、買主が負担します。

ローンを全額返済する

抵当権が残っているマンションを売却することはできないので、ローンの残債があれば全額返済しなければなりません。金融機関に全額繰上返済を希望する日にちを申し出ることで、必要な費用を計算して伝えてくれます。
ローンを全額返済する際には、ローンの残高に加えて、繰り上げ返済をする事務手数料も必要です。事務手数料は金融機関により異なりますが、一般的には5,000円程度だとされています。ただし、固定期間選択型ローンの場合は、およそ30,000~50,000円程度必要です。

2.4 売却して利益が出たときにかかる譲渡所得税

マンションを売却して利益が出たときにかかる税金が譲渡所得税です。利益に対して住民税と所得税がかかります。利益が出ていなければ、譲渡所得税はかからないので、支払いも申告も不要です。
利益は、売却価格から経費である不動産購入費、登記費用、仲介手数料などを差し引いて算出します。算出した利益に対して税率を掛けますが、税率はマンションの所有期間により異なるので注意しましょう。マンションの所有期間が長いほうが、税率は低いです。

マンションの所有期間による税率の違い

所有期間が5年を超えている場合は「長期譲渡所得」となり、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。下記は、それぞれの税率の違いです。

?長期譲渡所得短期譲渡所得
所得税課税譲渡所得金額×15%課税譲渡所得金額×30%
住民税課税譲渡所得金額×5%課税譲渡所得金額×9%

譲渡所得は「譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)」で算出し、税額は「譲渡所得×税率(所得税・住民税)」で算出します。自分で計算することもできますが、税金の計算は複雑なので、税務署等で確認しましょう。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
税額=譲渡所得×税率(所得税・住民税)

{
・仲介手数料
・抵当権抹消登記の費用
・印紙税と譲渡所得税
}

3. 売却前に必要書類を準備しておくことが大切

売却に必要な書類を確認し、準備しておきましょう。

3.1 本人確認書類

売主本人の確認書類が必要です。具体的には、「身分証明書」、「実印」、「印鑑証明書」など。もし、マンションの名義が親子などで共有名義になっている場合は、共有者全員のものが必要になります。登記上の住所と現住所が異なる場合、「住民票」も必要です。住民票と印鑑証明書は、発行から3カ月以内と有効期限が決まっています。
売却代金は銀行振り込みになることが多いため、口座情報を買主に伝えるために、「銀行口座の振込先がわかるもの(銀行口座の通帳)」の準備も必要です。また、住宅ローンの残債がある場合は、残債の総額を知らせるために、「ローン残高証明書またはローン返済予定表」も必要。ローンの残債は全額返済してから、引き渡しをします。

  • 身分証明書
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 住民票(場合による)
  • 銀行口座の通帳など、銀行口座の振込先がわかるもの(場合による)
  • ローン残高証明書またはローン返済予定表(場合による)

3.2 登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書は、不動産の登記事項の詳細が記載されています。以前は登記簿謄本と呼ばれていましたが、最近では登記事項証明書と呼ぶことが多いです。法務局で申請して取得することができます。
登記事項証明書は、誰でも取得することが可能です。自分で準備することが難しい場合は、不動産会社等に依頼して取得してもらうこともできます

3.3 登記済権利証または登記識別情報

登記済権利証は、法務局で発行される書類です。通称で「権利証」と呼ばれています。登記名義人が、その物件の所有者であることを証明する書類になるので、とても重要なものです。2005年3月の不動産登記法の改正によりインターネットで登記申請ができるようになったので、2005年3月以降に取得した物件の場合は、登記識別情報が発行されることもあります。その場合は、登記識別情報を準備しておきましょう。
この書類は、マンションを売却して買主に名義を変更する際や、住宅ローンの借り換えをする場合に新たに対象不動産に抵当権を設定する際に、法務局に提出します。

3.4 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書

売却する際には、固定資産税を精算します。その際、固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書が必要です。移転登記の際に登録免許税を算出するときにも必要になるので、最新のものを準備しましょう。
固定資産税納税通知書は、自動振替にしている場合でも、毎年5月頃に税務所から通知書が届きます。固定資産税評価証明書は、移転登記の際に必要になる書類ですが、価格交渉をする上でも参考にする書類です。固定資産評価証明書は、売却するマンションを管轄する役所で発行することができます。

3.5 マンションの管理規約または使用細則、維持費関連書類

これらは、売買契約以前のタイミングで買主に提示することが望ましいです。買主はこれらの書類により、どのような管理規約なのか、ペットの飼育が可能なのかなどの確認ができます。さらに、管理費や修繕積立金など、入居後の負担費用を確認することもできるので、買主にとって重要な書類です。
マンションのルール、維持費等のランニングコストは、マンションの価値を左右する情報になります。これらを確認し、納得した上で、買主は売買契約を結びます。

3.6 耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書

新耐震基準が施行されたのは1981年です。それ以前の中古物件を売買する場合、耐震診断を受けているかの報告書の提示を求められることがあります。古い物件の場合は、アスベスト使用調査報告書の提示も求められることがあるようです。
古い物件の場合は、耐震性やアスベストの問題が懸念されます。安全を保証するために、耐震診断やアスベスト使用調査を受けておいたほうが良いです。これらの書類は提出義務があるわけではありませんが、トラブルを避けるためにも、提出指示があれば従ったほうが良いでしょう。

3.7 その他

その他には、「物件購入時の売買契約書」もあると良いです。売買代金等のマンションに関するさまざまな情報が記載されており、マンション売却後の確定申告のときに必要になります。
その他、「物件購入時の重要事項説明書」、「物件の図面」、「設備の仕様書」、「議事録」、「長期修繕計画書」など、さまざまな書類が必要です。場合により必要書類は異なるので、不動産会社に相談して事前に確認しておきましょう。
{
・本人確認書類
・登記関係の書類など
・不動産会社に確認
}

4. 投資用マンションの売却は専門知識のある不動産会社に相談する

投資用マンションの売却が成功するかどうかは、不動産会社によるといっても過言ではありません。投資用マンションを高く売って利益を得たいのであれば、専門知識のある優良な不動産会社に相談しましょう。
優良な不動産会社であれば、物件に合う最適な価格設定を提案してくれます。高すぎても売れず、安くしてすぐに売れても利益は出ません。最適な価格設定であることが重要なポイントです。優良な不動産会社の担当者であれば、収支状況や売却相場をもとに戦略を立ててくれます。

4.1 専門知識がある不動産会社を見つける方法

専門知識がある優良な不動産会社を見つけるには、なるべくたくさんの不動産会社のことを調査し、比較して検討していく方法が確実。そうはいっても、1つずつ話を聞きに出向くのは大変です。そんなことをしなくても、インターネットで一括査定をすれば、簡単に複数社を比較することができます
複数社をまとめて査定し、提示された価格等を比較できる無料一括査定サイトがあるので、チェックしてみましょう。売りたいマンションを査定に出して比較することで、その中からよりよい不動産会社を見つけることができます。
{
・優良な不動産会社に相談
・ネットで一括査定
・査定を比較する
}

5. 投資用マンションの売却で損をしないために

投資用マンションの売却は、利益を得て今後の資産形成が有利になるかどうかが重要なポイントです。売却に成功するためには、売却に必要なことを確認し、事前準備をしっかりしておきましょう。
事前準備の最重要項目が、信頼できる不動産会社を見つけることです。専門知識が深く、アドバイスもしてくれるような不動産会社と媒介契約を締結することが、売却成功への第一歩となります。不動産一括査定を利用し、複数の不動産会社の査定等を比較してから、慎重に不動産会社を選びましょう。