不動産相続で支払う税金について|計算方法と気をつけるポイント

不動産を相続することになった場合、どのような手続きを取ったらよいのでしょうか。まずは、不動産の相続で支払う税金が2種類あることなど、基本的な情報を把握しておくことから始めるとよいです。
相続税の基礎知識について学んだら、相続税の計算の方法、気をつけるポイント、相続した現金を不動産にかえるメリットとデメリットなど、徐々に知識を増やしていきましょう。相続税についての知識を深めておくことで、失敗することなくスムーズに手続きができます。

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1.不動産の相続で支払う2種類の税金

建物や土地などの不動産を相続したときには、「登録免許税」「相続税」の2種類の税金を支払う必要があります。

1.1登録免許税とは

不動産を相続すると、所有地や面積などの情報を登記します。相続した不動産は所有者が変わるので、所有権移転登記をしなければなりません。そのときに「登録免許税」がかかります。登録免許税の計算方法は、「固定資産評価額×0.4%」です。
固定資産評価額は、市町村が毎年見直しをしながら決定します。ただし、実際の取引額とは差があるので注意しましょう。建物は実際の建築費のおよそ50~80%程度、土地は時価のおよそ60~70%程度だとされています。マンションの場合は、マンション全体の評価額×持分割合の額(登記簿謄本で確認可能)。固定資産税評価額は1,000円未満切り捨て、登録免許税は100円未満切り捨てです。

登録免許税=固定資産評価額×0.4%

登録免許税の納税方法

登録免許税の納税方法は、原則は現金納付です。オンライン申請の場合は、電子納付も可能。ただし、登録免許税の額が30,000円以下の場合は、収入印紙で納付することができます
現金で納付する場合、まずは近くの金融機関に行きましょう。登録免許税納付用の納付書に必要事項を記入して窓口に提出し、登録免許税を支払います。手続きが済んだら領収証書が交付されるので、当該登記の申請書に貼り付けて登記所に提出して納付手続き完了です。
収入印紙で納付する場合、近くの金融機関等で登録免許税額分の収入印紙を購入します。法務局内に印紙が売っているところもあるので事前に確認しておくとよいです。登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼り付けて提出し納税します。ただし実務上では、登録免許税額が30,000円を超えていても、収入印紙で納付することも多いです。納付方法の詳細は、法務局に確認してください。

1.2相続税とは

亡くなった人の財産を、家族などが引き継ぐことを遺産相続といいます。遺産相続が一定額を超えた場合に、「相続税」が発生します。相続税法により「基礎控除額」が決められているので、遺産の総額から基礎控除額を差し引いた額に、相続税が課税されます

相続税の納税方法

相続税の納付は原則として現金の一括納付です。相続税の場合、自分で税金を計算し、納付書を作成しなくてはなりません。作成した相続税の納付書を持ち、相続開始日から10カ月以内に、相続人自身が金融機関などに納付します。
今までは原則として現金納付でしたが、平成29年からは「国税クレジットカード支払いサイト」でクレジットカード払いが可能です。カード払いのデメリットは、カード払い1回につき1,000万円未満と決まっていること、領収証が発行されないこと、利用限度額の範囲内しか納付できないこと、決済手数料がかかることなど。インターネットがあれば自宅からでも納付ができて便利だという点はメリットです。
{
・固定資産税と相続税
・固定資産評価額×0.4%
・一定額を超えたら相続税
}

2.相続税の計算は「基礎控除を引く」

相続税を計算するには、「基礎控除を引く」ことがポイントになります。

2.1相続税の基礎控除額の計算方法

相続税は、遺産相続財産のすべての合計額が基礎控除額を超えた場合にかかる税金です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×相続人の人数」で算出できます。
例えば相続人が3人の場合は、3,000万円+600万円×3=4,800万円です。この場合は、相続した財産の総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。

基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人の人数

2.2相続税の計算に必要になる法定相続分と相続税の速算表

以下は、法定相続分の割合です。

相続人割合
配偶者と子ども配偶者1/2子ども1/2(複数人いるときは配偶者以外の分を均等に分ける)
配偶者と直系尊属(父母や祖父母)配偶者2/3直系尊属1/3(複数人いるときは配偶者以外の分を均等に分ける)
配偶者と兄弟姉妹配偶者3/4兄弟姉妹1/4(複数人いるときは配偶者以外の分を均等に分ける)
配偶者がいない子どもが全額相続(子ども2人の場合は1/2ずつ、3人の場合は1/3ずつ)

以下は、相続税の速算表です。

課税価格税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

2.3相続税の計算方法

相続税を計算するには、「正味の遺産額-基礎控除額=課税遺産総額」により、まずは課税遺産総額を算出します。建物、土地、預貯金等の財産から、借入金や未払金等の債務を引いたものが正味の遺産額です。生命保険や死亡退職金は、非課税限度額を超えた分を加算します。
例えば、正味の遺産額が1億4,800万円、妻と子ども2人が法定相続分どおりに相続した場合。「1億4,800万円-(3,000万円+600万円×3)=1億円」となります。
相続税の総額を計算するには、算出された課税遺産総額を法定相続分で分割したものと想定し、相続税の総額を計算。妻は法定相続分が2分の1なので「1億円×1/2=5,000万円」、子ども2人の場合は法定相続分が4分の1なので、それぞれ「1億円×1/4=2,500万円ずつ」となり、速算表に当てはめて相続税を算出します。

課税遺産総額=正味の遺産額-基礎控除額

法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定められた相続人のことです。配偶者は常に法定相続人なので、配偶者と第1順位の人が法定相続人になります。第1順位に当てはまる人が誰もいない場合は第2順位の人、第2順位がいない場合は第3順位の人が法定相続人です。

  • 第1順位は子ども(子どもが亡くなっていたら孫、子どもと孫が亡くなっていたらひ孫)
  • 第2順位は亡くなった本人の父母(父母の両方が亡くなっていたら祖父母)
  • 第3順位は亡くなった本人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていたら甥と姪)

2.4相続税路線価を参考にする

相続税路線価とは、主要な市街地の道路(路線)の1㎡当たりの価額で、相続税を算定するための基準になるものです。毎年1月1日時点の評価をもとに、公示価格の70~80%程度に評価が決定し、8月に国税庁が公表します。評価額は1,000円未満切り捨てです。
相続対象となる土地の評価額は、土地が面している道路の路線価の評価額に、土地の面積を掛けて算出。2つ以上の道路に面していたり、土地が複雑な形をしている場合は、評価時に補正率を使って調整します。このように算出した土地の評価額が、相続税の課税対象となるのです。相続税路線価は「全国地価マップ」というサイトで閲覧できます。

2.5相続税が控除される場合とは

既定の条件を満たしている場合、「配偶者の税額の軽減」「未成年者の税額控除」「障害者の税額控除」「相次相続控除」により、相続税が控除される場合もあります。これらの相続税控除の条件については、国税庁のホームページで詳細を確認することが可能です。

配偶者の税額の軽減

遺産分割や遺贈によって、実際に取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額までは、配偶者には相続税がかかりません。配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産をもとに計算します。そのため、相続税の申告期限までに分割されていない財産は、税額軽減の対象外です。

未成年者の税額控除

既定の条件を満たしている未成年者が相続人となった場合、相続税の額から一定の金額を差し引くことができます。税額控除を受けられる未成年者の条件は、以下の内容が当てはまる人です。

  • 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人
  • 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がない人でも「日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していた人」「日本国籍を有しており、かつ、造族開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人」「日本国籍を有していない人」であればよい。
  • 相続や遺贈で財産を取得したときに20歳未満だった人
  • 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人

障害者の税額控除

既定の条件を満たしている85歳未満の障害者が相続人になった場合、相続税の額から一定の額が差し引かれます。以下は、障害者控除が受けられる人の条件です。

  • 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人
  • 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人
  • 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人

相次相続控除

相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与により財産を取得して相続税が課されていた場合は「相次相続控除」が受けられるかもしれません。被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与により財産を取得した人の相続税額から、一定の額が控除されます。相次相続控除の対象差は以下の条件に当てはまる人です。

  • 被相続人の相続人である人
  • 相続開始前10年以内に、開始した相続により被相続人が財産を取得している
  • 相続開始前10年以内に、開始した相続により取得した財産について、被相続人に対して相続税が課税されている

{
・正味の遺産額-基礎控除額
・相続税路線価を参考
・相続税控除の場合もある
}

3.不動産の相続で気をつけるポイント

不動産の相続で気をつけるポイントも把握しておくとよいです。

3.1相続税の申告・納税には期限がある

相続税の申告・納税は、相続開始後10カ月という期限があるので気をつけましょう。申告だけでなく、納税の期限も10カ月です。遺産分割協議が期限内に成立していないため、3年以内の分割見込書を提出することになったとしても、一旦は期限内に申告・納税しなくてはなりません。
ただし、東日本大震災で被害を受けた方などは、申告・納税の期限が延長や納税の猶予等を受けられる税制上の措置があります。

3.2期限を過ぎたらペナルティがある

万が一、期限を過ぎてしまったら、「無申告加算税」というペナルティがあります。延滞税の加算だけでなく、財産を差し押さえられてしまう可能性もあるので、期限は過ぎないように気をつけましょう。差し押さえの対象は遺産だけでなく、相続人自身の財産も対象になってしまいます。
無申告加算税は、原則として、納付する税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を掛けて算出。税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税が5%の割合を掛けて算出した額に軽減されます。
ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期限になるものは、調査の事前通知後にした場合、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合を掛けて算出することが可能です。

3.3相続開始前3年以内の贈与等は相続税が課せられる

相続開始前3年以内の贈与や遺贈は相続税が課せられます。この場合、亡くなる前の贈与なので贈与税だと思われがちですが、贈与されてから3年以内に亡くなった場合は、贈与税ではなく相続税になるのです。
これは、相続税対策のための駆け込み贈与の対策として定められました。贈与税であれば、年間110万円以内の贈与の場合は非課税になりますが、相続開始前3年以内の贈与は相続税になるので関係ありません。
例え110万円以内の贈与であっても、相続開始前3年以内であれば、相続税の対象になります。ただし、非課税の財産もあるので、全ての贈与が相続税になるわけではないということも知っておきましょう。

3.4相続税額が2割加算される場合がある

被相続人との関係により、相続税額が2割加算される場合があります。2割加算される人とは、「配偶者以外の人」及び「被相続人の一親等の血族(代襲相続人の孫である直系卑属を含む)以外の人」です。逆に2割加算されない人は、被相続人と関係が深い「配偶者」及び「被相続人の一親等の血族(代襲相続人を含む)」ということになります。
もっと具体的に例を挙げると、2割加算される人は、兄弟姉妹、甥、姪、祖父母、代襲相続人ではない孫、被相続人の養子の孫(代襲相続人は除く)、遺贈をもらう友人など。2割加算されない人は、夫、妻、父母、子、代襲相続人の孫です。

3.5代償分割の場合の課税方法

遺産分割に当たり、共同相続人等のうち1人または数人に相続財産を現物で取得させます。代償分割とは、その現物を取得した人が他の共同相続人等に対し、債務を負担することです。現物分割が困難な場合に行われます。相続税の課税価格は以下のように算出することが可能です。

  • 代償財産を交付した人の課税価格は、「相続または遺贈で取得した現物の財産の価額-代償財産の価額」
  • 代償財産の交付を受けた人の課税価格は、「相続または遺贈で取得した現物の財産の価額+交付された代償財産の価額」
代償財産を交付した人の課税価格=相続または遺贈で取得した現物の財産の価額-代償財産の価額
代償財産の交付を受けた人の課税価格=相続または遺贈で取得した現物の財産の価額+交付された代償財産の価額

3.6信頼できる業者に不動産売却等の相談をする

不動産の相続税は、複雑なルールがたくさんあります。なるべく知識を深めておくことは大切ですが、信頼できる業者に不動産売却等の相談をしたほうが安心です。
信頼できる業者を探しているなら、なるべく複数の不動産業者に査定を依頼して比較をすることをおすすめします。インターネットで無料で一括査定ができるサイトがあるので、簡単に複数の不動産業者の比較をすることが可能です。査定内容や実績などを比較し、信頼できる業者を見つけて相談しましょう。
{
・申告・納税には期限がある
・期限過ぎたらペナルティ
・信頼できる業者に相談
}

4.相続した現金を不動産にかえるメリットとデメリット

相続した現金を不動産にかえることには、メリットとデメリットがあります。その両方を理解して慎重に考えましょう。

4.1節税効果がある

メリットは節税効果です。相続する資産の内容により相続税の額が変わります。同じ価値の相続財産だったとしても、不動産のほうが相続税評価が大幅に下がるので、相続税を節税できるのです。
例えば、1億円の現預金の相続財産の場合、相続税評価は1億円で、相続税の税率が50%だとしたら、5,000万円の相続税を支払います。
しかし、1億円の現預金で1億円の不動産を購入したとしたら、物件の種類により異なりますが、相続税評価はおよそ7,000万円程度。税率が50%だとしたら、相続税は3,500万円となり、現預金と比較すると1,500万円も節税できます。

4.2半分以下の評価になるリスクがある

デメリットは、評価が半分以下になるリスクがあることです。相続になったときの建物評価は、実際の建築費用ではなく、固定資産税評価額により評価されます。固定資産税評価額は、市町村の税務課(東京23区は都税事務所)にある固定資産税台帳に登録してある評価額のことです。国が定めた固定資産評価基準に基づいて市町村が決定します。
土地は公示価格のおよそ70%程度、建物は建築費のおよそ50~70%程度。しかし現実は、この評価よりも低くなることが多く、建築費の半分以下になる可能性が高いです。
相続税対策として現金を不動産にかえると節税メリットはありますが、すべてを財産に変えてしまうと相続税の支払いが大変になることがあります。相続税の支払いを考えて、流動資産の形で手元に現金を持っていたほうが安心です。
{
・節税効果のメリット
・評価が低くなるデメリット
・相続税の支払いを考える
}

5.不動産相続税の悩みを解決しよう

不動産相続税に関して自分自身で理解することは大切ですが、信頼できる不動産会社に相談すれば、より安心できます。不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社の査定を比較することが出来て便利です。
査定内容を比較したり、過去の実績等を比較したりして、信頼できる不動産会社を見つけましょう。実績がある不動産会社であれば、担当者に不動産税の悩みを相談することもできます。

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