土地売却時に分離課税が適用される理由とメリットについて

土地を売却して利益を得ると、所得に計算され課税の対象になります。ひとくちに所得といっても幅は広く、税制上は10の区分に分けられます。土地を売って得た利益はその中のひとつの譲渡所得に該当し、これは他の所得とは違って分離課税が適用されています。
課税の方式は「分離課税」「総合課税」の2つであり、所得では総合課税が適用されることがほとんどです。分離課税は特例的な計算方法とも言えるため、なぜ譲渡所得に適用されるのか、その理由と適用されるメリットを知り、理解を深めましょう。
目次
1.分離課税と総合課税の違いについて
2.土地を売却して利益が出た場合は課税される
3.土地売却に分離課税が適応される理由とは
4.分離課税のメリットについて
5.土地を売却した時に支払う税金の計算方法
6.土地売却したときの特例や控除の紹介
7.土地売却には分離課税が適用され高い税率がかからないように配慮されている

1.分離課税と総合課税の違いについて

所得の計算方式は「分離課税」と「総合課税」の2つに分けられ、これらは性質が大きく異なります。土地売却では分離課税が適用されますが、その理由を知るには、まずはこれらの違いを正しく把握しておかなければなりません。所得に対して課税される点は共通していますが、課税の方式は全く異なり、対象の所得の区分も異なります。

1.1 分離課税は特定の所得単体で計算

分離課税は特定の所得単体で計算するのが特徴であり、該当するのは「譲渡所得」「退職所得」「山林所得」の3つのみです。その他10の所得は総合課税で計算されるため、これらの所得のみ別の区分で計算すると考えましょう。
また、譲渡所得は分離課税に該当するのは、「譲渡所得のうち土地・建物等及び株式等の譲渡所得」に限られます。

1.2 総合課税は複数の所得を合算

総合課税は、複数の所得を合算したものが課税対象です。主なものでは「給与所得」「事業所得」「利子所得」などが該当し、これらは単体ではなく総額で計算しなければなりません。例えば給与所得が300万円、事業所得が50万円、利子所得が10万円の場合、合計した360万円が課税の対象です。
ひとつひとつの所得が少なくても、合算して金額が大きくなると、その分税負担も重くなるため、注意しなければなりません。
{
・分離課税は単体で計算
・総合課税は合算
・譲渡所得は分離課税
}

2.土地を売却して利益が出た場合は課税される

土地を売却した場合は譲渡所得が分離課税に該当しますが、これは必ずしも発生するとは限りません。課税対象となるのは、売却して利益が出た場合に限られ、課税額に応じて税額は変化します。少しでも利益が出た場合は課税の対象となり、場合によっては税負担でほとんど利益がなくなることもあるため、注意が必要です。
また、いかに分離課税で単独で計算されるといっても、利益そのものが大きいと課税額も大きくなります。税負担は利益が大きいほど重くなるため、莫大な利益が出た場合には、後から重い納税義務が課せられることは覚悟しなければなりません。

2.1 課税は所得税と住民税

譲渡所得で利益が出ると、所得税だけではなく住民税も課税されます。2つの税金が課税され、それらを差し引いた金額が土地売却から得られる、実際の利益と言えるでしょう。譲渡所得という言葉から、所得税ばかりが連想され、住民税は忘れがちです。
また、平成23年12月2日からは、復興特別所得税も支払う必要があるため、これも忘れないようにしましょう。住民税や復興特別所得税を忘れて売却計画を立てていると、後から費用がかかって想定していた利益が得られない可能性もあるため、注意しなければなりません。

2.2 利益なしなら非課税

譲渡所得は所得税と住民税の2つがかけられるため、重課税とイメージされがちですが、課税対象はあくまで利益が出た場合です。売却しても利益が出ない場合は課税の対象にはならず、当然税金の支払いも必要ありません。
土地の売却で得られる利益とは、売却価格そのものではなく、そこから諸費用を引いた額が実際の利益です。土地を売っても利益が出ないケースは意外と多く、利益が出ないばかりか損失が出るケースもあるため、所得税と住民税は、必ずしも課税されるとは限りません。
{
・所得税と住民税が課税
・利益なしだと非課税
・利益が出ないことも多い
}

3.土地売却に分離課税が適用される理由とは

譲渡所得に分離課税が適用されていることには理由があり、これは土地売却という所得が関係しています。分離課税は他にも退職所得や山林所得がありますが、これらを分離課税とするのも同じ理由です。土地売却に分離課税が適用される理由を知り、分離課税の方式への理解をさらに深めましょう。

3.1 税額が高額になりすぎる

土地売却で得た譲渡所得に分離課税が適用されるのは、総合課税にして合算すると税負担が大きくなり過ぎる可能性があるからです。土地売却で得られる利益は人によって、対象の不動産によって異なりますが、数百万円単位になることが多く、場合によっては1,000万円を超える場合もあります。
仮に1,000万円の譲渡所得が発生し、総合課税で計算するなら、この時点で税額は高額になり、さらに給与所得や事業所得と合わせると、税負担が急激に増えます。総合課税で計算する際の累進税率以下の通りで、一律10%の住民税と合わせると、税負担はかなり高額になるでしょう。

課税対象の所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超え330万円以下10%9,7500円
330万円超え695万円以下20%427,500円
695万円超え900万円以下23%636,000円
900万円超え1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超え45%4,796,000円

もともとの給与・事業所得が高い人は、譲渡所得と合わせると税負担は大きくなりやすく、急激な負担を回避するため、高額になりやすい所得は分離課税で計算されます。所得が増えるほど控除額も大きくなりますが、当然課税額の上昇も大きいため、分離課税は税負担を抑えるための救済措置と言えるでしょう。

対象は一生に何度も獲得がないもの

分離課税が適用されるのは譲渡所得以外では、退職所得と山林所得が挙げられますが、これらは一生に何度も獲得することがないため、分離課税が適用されています。その他の所得の場合、年間を通して所得を獲得することが多く、金額が大きくなることも少ないです。
対して譲渡・退職・山林の3つの所得は一度で多額の金額を得ることが多く、かつ全ての人が経験するとも限りません。所得の中でもある種イレギュラーな存在のため、対応もイレギュラーになり、特別に分離課税が適用されているとも言えるでしょう。
{
・税負担を抑える分離課税
・総合課税は税率が高い
・得る数が少ない所得が該当
}

4.分離課税のメリットについて

分離課税は一部の所得にだけ限定された特別な課税方式ですが、これらを適用しているからこそのメリットは大きいです。分離課税が適用されることでどのようなメリットがあるのかを知り、土地売却時にいかにプラスに働くか考えてみましょう。

4.1 税負担を減らしやすい

分離課税のメリットは、税負担を減らしやすい点にあります。分離課税は特定の所得のみを単独で計算して課税額を決定するため、総合課税の対象所得がいくらであろうと、課税額は変わりません。総合課税の対象所得が小さいなら、分離課税が大きい場合でも全体の税負担は小さくなります。
反対の場合も同じで、総合課税が多くても、分離課税が小さいならトータルでの負担はそれほど大きくありません。税負担を二分して考えられるため、負担が少なく、土地売却時も税金を気にせず利益を追求しやすいでしょう。

4.2 損益通算が可能

分離課税は分離課税内でも別々で計算(譲渡所得と退職所得がある場合も、金額は合算しない)しますが、損失が出た場合は合算して損益通算が可能です。通常は合算しないのが分離課税の基本ですが、損失が出た場合に限り、損益通算をして税額を抑えられることは、大きなメリットでしょう。
例えば退職所得の課税対象が100万円で、譲渡所得で−30万円が出た場合、合算して70万円分のみ課税対象にできます。損失が出ても無駄にせず、他の分離課税にあてて税金を減額できるのは優れたメリットです。

損益通算の注意点

損益通算が可能なのは分離課税の大きなメリットですが、これは居住用財産を売却し、損失が出た場合に限られます。居住用ではない、投資用の不動産では損失が出ても損益通算ができません。損益通算は、条件を満たした場合のみ適用できることは理解しておきましょう。

確定申告で返金される

土地の売却によって損失が出た場合は、確定申告で払いすぎた源泉徴収が返金されます。分離課税には確定申告が必要な「申告分離課税」、天引きされている「源泉分離課税」の2つに分けられます。損失が出た場合は確定申告で源泉徴収分の返金が受けられるため、マイナスを減らすことも可能です。確定申告をしないと源泉徴収分は戻ってこないため、損失が出た場合は必ず申告しましょう。
{
・税負担が減る
・損益通算ができる
・確定申告で返金される
}

5.土地を売却した時に支払う税金の計算方法

スムーズに土地を売却するなら、事前にどれくらいの税金がかかるか把握しておくことが大切です。税金を考えずに売却プランを立てていると、税負担が大きく、思った通りの利益が得られない可能性も高いです。獲得したい利益を明確にし、計画通りに売却を行うには売却時に発生する税金、つまり費用も踏まえて売却金額を設定する必要があります。税金の計算方法を知り、実際に計算してどれくらいかかるか、目安を知っておきましょう。

5.1 譲渡所得の計算

土地売却時にかかる税金を知るには、まずは譲渡所得を算出しなければなりません。譲渡所得とは土地の売却価格から諸費用を差し引いたもので、実質の利益と言えます。譲渡所得は、以下の式で計算します。

譲渡所得=売却価格−(取得費+売却費用)

取得費は土地の購入にかかった金額に、各種費用を足したものです。費用には「購入時の仲介手数料」「税金」が挙げられます。また、建物の場合は「減価償却費」を計算し、取得費から差し引いて計算しますが、土地の場合は減価償却はないため、取得費はすべて足し算で計算しましょう。
売却費用は、売却にかかった諸々の経費で、不動産業者の仲介手数料や行政書士の代行手数料などが該当します。取得費と売却費用を足して、売却価格から引いたものが譲渡所得になるため、費用が高いと売却価格を上回り、課税対象にならないこともあります。

課税譲渡所得の計算

譲渡所得の金額がプラスの場合は、課税対象になりますが、さらに特別控除を適用できる場合は、これも差し引きます。譲渡所得から特別控除の金額を引き、最終的にプラスになった場合、所得税と住民税が課税されると考えましょう。なお、特別控除の適用がない場合は、計算した譲渡所得の金額で課税額が決定します。

5.2 土地売却時の税率

譲渡所得は所得税と住民税が課税されますが、それぞれで税率は異なります。また、譲渡所得は「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2つに分けられ、不動産の保有年数に応じて、税率も異なります。

所有期間所得の種類所得税住民税
5年以下短期譲渡所得30%9%
5年超え長期譲渡所得15%5%

5年を超えるかどうかで、全体の税率は19%も異なるため、売却のタイミングによって注意が必要です。5年ぎりぎりで売却を考えている場合は、税率が大幅に安くなる5年経過以降を狙って売却したほうが、税負担は軽くなります。
しかし、売却のタイミングをずらすことで、売り逃す、あるいは価値が減少して損をする可能性もあるため、注意が必要です。また、5年経過の有無に関係なく、利益が出ないならそもそも課税の対象にならないため、まずは譲渡所得が発生するか計算することが大切です。

売却年の1月1日で5年を経過しているか

不動産の所有期間の考え方は、取得してから5年ではなく、取得後何回1月1日を迎えたかで計算します。例えば2018年4月1日に土地を取得した場合、税法上で5年超えたとみなされるのは、2024年の1月1日です。2023年の4月2日に売却すると、所有期間は5年以下で短期譲渡所得の税率で計算されるため、注意しましょう。2024年の1月1日以降なら、いつ売却しても長期譲渡所得の区分で税額は計算されます。

5.3 一括査定で売却額を把握

土地売却にかかる税額を知るには、まずは売却金額を知る必要があります。実際にいくらで売れるかは契約するまで分かりませんが、査定に出すことである程度の目安は分かります。より正確な価格を算出したいなら、一括査定で複数の査定額を比較し、相場を知ることが大切です。イエウールなら同時に最大6社まで査定ができるため、積極的に活用して、売却額を把握しておきましょう。

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{
・譲渡所得を計算
・税率をかけて税額を算出
・短期と長期で税率は違う
}

6.土地売却したときの特例や控除の紹介

土地を売却した際の譲渡所得に税率をかけて、税額を算出しますが、特例や控除を適用できる場合は、それらを差し引いてから計算します。適用できる特例・控除は数が多く、上手に使うとさらに税負担は軽減できます。

6.1 土地売却の特例・控除

土地売却で適用できる特例・控除は、以下の通りです。適用時の条件も含めて確認しましょう。

  • 平成21年に取得した土地を平成27年以降に売却する人 長期譲渡所得の1,000万円特別控除
  • 平成22年に取得した土地を平成28年以降に売却する人 長期譲渡所得の1,000万円特別控除
  • 公共事業などのために土地建物を売った場合 5,000万円の特別控除の特例
  • 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合 2,000万円の特別控除の特例
  • 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合 1,500万円の特別控除の特例
  • 農地保有の合理化などのために土地を売った場合 800万円の特別控除の特例

特例や控除が適用できる場合は、譲渡所得から大幅に減額できるため、ほとんどの場合で課税対象になりません。適用可能なのに使っていないと損をするため、売却時には利用できるものがないか、念入りに確認しておきましょう。

6.2 相続した土地売却の特例・控除

相続した土地を売却する場合に適用できる特例や控除は、大きく2つです。1つは相続税が発生後、3年以内の売却なら税負担が軽くなること。もう1つは2019年末まで、譲渡所得3,000万円以内なら譲渡所得課税はかからないことです。相続税は高額になりやすいため、可能な限り特例や控除を利用し、税負担を少しでも抑えましょう。
{
・売却時の特例・控除は多い
・相続物件も特例・控除あり
・積極的に利用しよう
}

7.土地売却には分離課税が適用され高い税率がかからないように配慮されている

土地売却で得た譲渡所得に分離課税が適用されているのは、急激な税負担の増加を抑えるためです。一生のうちで回数が少なく、一度に高額の所得が発生しやすいものは、分離課税でその他の所得とは別の区分で計算し、課税額を算出します。
土地売却で高い利益を獲得しても、譲渡所得単体で計算し、課税額が決まるため、税負担の増加を心配する必要はありません。利益が出るなら課税は避けられませんが、分離課税で負担は少ないため、少しでも高値で売ることを考え、上手に土地を売却して利益の最大化を目指しましょう。

7.1 土地売却のための不動産業者探しはイエウールがおすすめ

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