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マンション評価額は相続や売却など使い道によって求め方が違う

同じタイプ・広さのマンションの税金は、状態や築年数が大きく違うとしても同額です。一方それらのマンションが全て同じ価格で売却されているわけではありません。あるときは高く、あるときは安くても売れないこともあります。どちらも同じ「マンションの評価額」と言われる数値が基準となっていますが、税金と売却額の値段の違いは一体何によるものなのでしょうか。

マンションの評価額はどう計算するのか

戸建住宅もマンションも同じ「不動産」ですからそれぞれに価値があります。人が住むものですから住み心地や生活のしやすさなど価値にもさまざまな視点がありますが、総合的に「お金に換算する」のが評価額の考え方です。

戸建住宅とマンションの違い

不動産の納税や売買は「評価額」によって金額が決まります。大きく分けると建物・施設と土地になりますが、戸建住宅ならわかりますがマンションの場合はどうなっているのでしょうか。

マンションの土地は1室の所有者だけのものではない

しかし、マンションには戸建住宅とは決定的に異なる要素があります。それは「集合住宅の一部を所有する」ということになります。戸建住宅は土地が区切られ、原則としてその土地の内側に建物があるため、見ただけで「どこからどこまでを所有する」とわかりますが、マンションの場合その一室だけで建っているわけではありません。

マンション全体の敷地は、一部所有者のものと考えられますが、どこからどこまでが所有者のものだと指さすことはできません。他の所有者と共同で所有するものですが、所有者全員のものであり自分のものでもあります。

戸建住宅にはない「所有者だけのものではない設備」がある

高層階の一室は階下にあるたくさんの部屋の上に建っており、いわば「同じ広さの敷地に何層にも建てられている」住居です。またマンションには上の階の人だけが使う階段やエレベーター、誰もが通るエントランス、その階の部屋まで通じる廊下など「誰かの所有物ではない」設備がたくさんあります。

他にも周囲の駐車場・駐輪場や集会所・管理人室などありますが、これらもそれなりの費用をかけて作られています。

このような施設を「共用部分」といいますが、これも土地と同じように「持分割合」で各所有者に割合が定められています。

土地は持分割合で計算する

マンションでは多くの場合、土地は1室の専有部分の床面積の「専有部分の床面積の合計」に占める割合で持分割合が新築時に決められています。まれに床面積割合以外の方法で決められていることもあります。この持分のことを「敷地権」と呼び、1室の専有部分と一体として売買されます。こうすると土地登記簿の権利の表示が単純になり調べるのも容易になるメリットがあります。

敷地権という考え方は、マンションに限っているわけではなく、例えば二世帯住宅のような区分建物についても用いられることがあります。

建物は厳密に専有部分が決められている

マンションの1室の所有者のことを「区分所有者」といいます。区分所有者の所有するのはほとんどがマンションの一室「専有部分」です。専有部分とは所有の認められた区分のことですが、実はバルコニーや部屋の玄関扉の通路側は専有部分ではありません。

細かくいうと、隣の居住区との境目にある壁の「壁紙」は専有部分ですが、壁紙の貼ってある「コンクリート壁」は専有部分ではありません。

バルコニーは廊下と同じように火災などで住人が避難経路として使うことを考え、無断で物を置くことは規約で禁止されています。また玄関扉の通路側はマンション外観の一部であり、他の住人が見るものでもあるため、自分の好きなように扉を交換したり色を塗り替えることはできません。

居住区境のコンクリート壁は厳密にいうと「マンション建物の躯体」ですから穴を開けたり取り除くことはでき内容になっています。

これらの区分は各マンションの「管理規約」で定められています。重要なのは「法律で決められているわけではない」ことで、それぞれのマンションの事情によって定めてよいとされていることです。多くのマンションが参考にする「管理規約の見本」のようなものはありますが、細かくいうとそれぞれ内容は違います。

評価額は用途によって求め方が違う

また、単に「評価額」といっても、その用途によって「価値」が変わることがあります。誰にとっても公平な基準で定められているものもあれば、人によって変わる価値もあるからです。その代表が、相続と売却です。

相続では公平な「国の基準」をもとにする

相続は、不動産の価値が国税庁が定める「財産評価基本通達」というルールにのっとって評価額が決まり、それを対象として納付すべき相続税が算定されます。

土地なら国税庁の定める「路線価方式」もしくは固定資産税に一定の倍率をかけて評価額を算出する「倍率方式」で、建物は「固定資産税評価額」が評価額そのものになります。

市場での売却には不動産鑑定士の鑑定評価を使う

一方売却する場合は、不動産鑑定士による「鑑定評価」を使います。鑑定評価では、不動産鑑定士が対象物件を取り巻く市場を分析し、その市場で成立するであろう市場価値をさまざまな側面から検討し評価額を導きます。

鑑定評価には、建物の築年数や状態、立地条件や利便性など「買い手のニーズ」の要素が多く含まれます。いくら売り手が売りたくても、結局は買い手が「買う」ことでしか売買は成立しないからです。

しかし、一方で、「たくさんの人が安いと思う価格」をつける必要はなく、たった1人でも「買う価格」であれば成立するデリケートな面もあります。このポイントを見極めるには取り巻く環境を十分理解する専門家が必要なのです。

{
・土地は「持分割合」のこと
・建物は専有部分+共用部分
・用途で種類を使い分ける
}

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相続するときの評価額

評価額が必要になる場合の1つは「相続」です。被相続人が住んでいた分譲マンションは、相続が発生した日の価格で相続財産に加算します。一度に計算することはできませんから、建物部分と土地部分に分けて計算します。

建物部分の評価方法

建物部分の相続税を課税するための評価額は、固定資産税評価額と同じです。固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書または課税明細書で確認することができます。

固定資産税評価証明書とは

税務署や市区役所・町村役場に申請すれば、所有する固定資産評価証明書を発行してもらうことができます。それぞれの窓口によって手数料が異なりますが、直接出向いて申請するか郵送で請求するかを選べます。

固定資産評価証明書には、土地と家屋それぞれの所有者の氏名や所在地などが記載されており、その中の「価格」または「評価額」と表記された欄に書いてある金額が固定資産税評価額です。

固定資産評価証明書は相続税を申告するときに添付しなくてはなりません。相続することが決まったら先に取得することもできます。

課税明細書とは

課税明細書とは毎年6月前後に市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書と一緒になっている「土地・家屋課税資産明細書」をいいます。課税明細書の「価格」または「評価額」と表記された欄に記載されているのが固定資産税評価額です。

土地部分の評価方法

一般的に土地部分は路線価方式で計算します。路線価とは道路ごとにつけられた値段のことで、国税庁が公表しています。まず路線価図からマンションの所在地の路線価を探し、

評価額=路線価(1㎡あたりの金額)x 宅地面積

と算出します。例えば路線価が15万円、マンション全体の宅地面積が100㎡であれば、土地の評価額は1,500万円となり、これに持分割合をかけることで専有部分の評価額が計算できます。

特別な計算が必要になる場合

宅地の中でも特殊なものは特別な計算が必要です。

  • 角地
  • 二方・三方・四方が道路に接している
  • 不整形地
  • 間口が狭い・奥行きが長い・崖地・道路に面していない
  • 指導に面している

それぞれに計算方法が定められていますから、計算式にのっとって算出しなくてはなりません。

路線価がない土地

郊外などでは路線価がない土地がありますが、この場合は倍率方式を使います。まずマンション全体の相続税評価額を計算し、国税庁ホームページにある評価倍率をかけることで算出します。

評価倍率は市区町村の町(丁目)または大字名の適用地域名と区分ごとに決められています。それに路線価方式と同じように持分割合をかけて相続財産に加算する価格が計算できます。

マンションの評価額がそのまま売却額というわけではない

マンションを相続したとき、固定資産税評価額で売却できると考える人がいますが、そうではありません。売却では、よくある日用品などと同じく「需要と供給のバランス」で価格が決まります。

評価額より高くても買う人がいれば成立しますし、安くても買い手がいなければ売却できません。評価額は売却額を決めるための参考にはなりますが、状態や条件、買い手の有無によっては数百万円単位で異なる場合もよくあります。

{
・相続評価には国の基準がある
・建物と土地を別々に計算する
・評価額=売却額ではない
}

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売却するときの評価額は「鑑定評価」

では、市場で売却する場合に参考にする評価額はどのように計算するのでしょうか。市場では100万円のものがそのまま100万円で売られることは稀です。売り手はできるだけ安く買おうとし、買い手はできるだけ高く売ろうとするからです。ではどのような方法で決まるのでしょうか。

分譲マンション価格の評価

分譲マンション1室の評価額には、建物と土地の持分割合が含まれます。それぞれについて不動産鑑定士が対象となるマンションの市場の特徴から、その市場で成立するであろう市場価格をいくつかの視点で検討し価格を算出します。その視点とは、費用性・市場性・収益性です。

どれくらいの費用がかかるかという「費用性」とは、更地に建物を建てる場合に、まず新築でかかる費用を算出し、それから築年数劣化分を差し引いて評価額を割り出す考え方です。「市場性」は周辺の似た物件の成約価格などを参考に、細かな条件分を加減します。

「収益性」とは賃貸マンションの場合の考え方で、市場で賃貸に出すと経費を差し引いていくら残るかを参考にするもので、収益見込み額から価値を推定します。

費用性による評価(原価法)

それではそれぞれの評価方法を具体的に計算してみましょう。対象となるマンションの概要は以下の通りです。

  • 総戸数14戸
  • 築年数30年
  • 評価対象501号室(最上階の角部屋・3LDK)のファミリータイプ住居
  • 専有面積70㎡

原価法では、マンション全体の現在価値を査定し、そのうち対象となる1室の割合をかけて評価額を求めます。このマンション全体の価値が10億円から原価分を差し引かれると2億2,000万円になります。

このうち1室が占める面積比は平均7%ですが、角部屋であることを加味して9%と査定すれば501号室の評価額は1,980万円です。この場合ポイントとなるのは、角部屋など個別要件の査定をどう査定するかです。

しかし、これはマンション全体にかかった費用を基にして計算された評価額です。今から501号室を買おうという人は、原価より「いくらで売ってくれるか」の方が重要なため、売却額の参考にはなりません。

市場性による評価(取引事例比較法)

この方法では、同じマンションの502号室が1年前に2,400万円で取引されたとして、それから501号室の価値を推定します。ここで加味されるのは「地域性(場所の優位性を比較する)」「個別要件(角部屋など)」といった優劣です。

この例では同一マンション内ですから「地域性は格差ゼロ」、個別要件では「角部屋」のため「+3%」を加味して結果、2,472万円とされます。

近年不動産売買成約結果はネットにかなりの情報が掲載されています。参考にする情報が多いほどその共通点や違いが見えやすくなるため、対象を増やすほど実際の売却額に近くなってきます。これからマンションを買おうという人には大いに参考になるはずです。

賃貸マンションは収益性で評価(収益還元法)

賃貸マンションであれば、何より「どれくらいの収益が見込めるか」によって評価額が決まります。結局のところきちんと運用して何年で元が取れるかが最も重要だからです。

先ほどの角部屋501号室を、12万円(年間家賃144万円)で賃貸すると、年間にかかる費用を30万円とすれば順収益額は114万円、賃貸での利回り6%で割ると結果は1,900万円となりこれが評価額となります。

これはあくまで「賃貸(不動産投資)物件」としての評価方法ですから、自分で住むためのマンションとしては参考になりません。しかし同じように利便性の高いマンションでは総じて高い家賃で賃貸にすることができます。ただ売却するより賃貸にするという選択肢が増え、より売却の可能性は広がります

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価格に影響する要因

マンションを買うとしたら、どのような要因が重視されるでしょうか。それを考えれば1つは「部屋の条件」、もう1つはマンションそのものの「立地の条件」に絞られます。

部屋の条件

1室の条件として、階数や「角部屋かどうか」「ベランダの向き」は生活する上でも重要な条件です。洗濯物の乾きについてはベランダの向き(昼日当たりがいいか)は大きな問題になるでしょう。

他には床面積の広さや間取り、室内や設備の状況によるリフォームの必要な度合いが大きな要素になります。他にも管理費や修繕積立金・固定資産税など継続的にかかる費用も大切です。

立地の条件

一般にマンションは利便性のよい場所に建てられることが多いのですが、いざ買おうとするとより具体的にその人の生活スタイルにあった施設があるかどうかに問題が絞られます。

駅や仕事場からの距離や、通勤・散歩にも便利な場所にあるかはもはや必要条件です。またマンション全体の築年数や外観、管理状況や管理規約に定められる生活の条件や制限も細かくチェックする必要があります。

不動産業者が提案する査定額とは

マンションの売却を不動産業者に相談すると、物件の状態などから業者独自に査定額を示してくれます。この査定には定められた書式や項目がありません。そのため業者によって項目や査定額に大きく開きがあり、同じ状態でもプラス査定・マイナス査定に別れることもあります。

これは不動産業者別に物件タイプの「得意・不得意」をはじめ、それぞれの査定能力と実績・経験、知識や地域性などに違いが現れるからです。

また、この査定額は「業者がこの価格で売却することを約束する」ものではないことに注意しましょう。あくまでこの時点で「このくらいで売れるだろう」という推定価格であり、どんなに高くても安くてもあまりあてにしない方がよいかもしれません

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家の査定

{
・市場性評価は売却額に近い
・賃貸は収益性評価で
・業者査定は売却額ではない
}

使い方別の「評価額の求め方」で計算する

マンションの評価額は、その用途によって求め方が違います。定められた基準にのっとって算出できるのは相続に代表される固定資産税評価や相続税評価です。

しかし、これは市場で売却するときの価格とは関係なく、市場価格は需要と供給によって決まります。それをさまざまな視点から検討・比較して評価額を決めるのが不動産鑑定士の「鑑定評価」です。

一口に「マンションの評価」といっても、「何に使うか」で方法も結果も全く違います。往往にして同じ「評価」と記載されるため、混同してしまうことなく用途に合った計算方法で算出しましょう。

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