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中古マンション建て替えに必要な知識と注意点|費用や方法まとめ

自ら選んで購入したマンションに、できるだけ長く住みたいと思うことは自然なことです。ただマンションには寿命があります。今はきれいなマンションでも、時が経てば老朽化し、いつかは建て替える必要が出てきます。自宅の場合、建て替えは自らの意思で行えますが、マンションの場合はどのような流れになるのでしょうか?

築年数が経過したマンションの建て替えるときに気になるのが、その費用や方法です。マンションの建て替えの現状や建て替え事例などを参考に、中古マンションを建て替える場合の注意点や、対処法を詳しく説明します。

中古マンションの建て替えとは

マンションの数は年々増え続けていますが、これは老朽化した中古マンションも同じく増え続けることを意味します。少子高齢化で人口減少が叫ばれる現代において、中古マンションの建て替えもまた社会問題のひとつとなりつつあります。中古マンションの現状を知る前に、まずはマンションの建て替えがどのように行われるのかを見ていきましょう。

建て替えにも様々な方法がある

ひとことにマンションの建て替えといっても、その方法はさまざまです。ここでは実際に行われている建て替えの主な手法を3つ紹介します。

マンション建替え等円滑化法を利用する

マンション建替え等円滑化法とは、平たくいうと建て替え前のマンションの権利を、建て替え後のマンションに移す権利変換の方法です。これを利用すれば、建て替え後の新しいマンションに、前と同じ条件で住み続けることができます。権利はすべて新しいマンションに移るため、住宅ローンの残債やそれにかかわる抵当権なども移ります。これは、住宅ローンの残債を一旦精算する必要がないことを意味します。

この方法を利用する場合、マンションを建て替えようとする住民が「マンション建替組合」を設立し、建て替えの計画書などを作成することから始まります。この計画を都道府県知事に提出し認められた場合に、マンション建て替え円滑化法を利用することができます。

敷地売却制度を利用する

この方法では、まずデベロッパーなどに土地と建物を一括して買い取ってもらいます。そのあと、新しく建てたマンションを、新たに購入するか、売却金で新しく別の住居に移り住むかを選ぶことができます。この制度では、まずマンション敷地売却決議を行う必要があります。4分の5の賛成がとれれば、デベロッパーが中心となりマンションの所有者をリードする形で計画を進めることができます。

この方法のメリットは、マンション建替え等円滑化法のときに必要だった組合の設立や計画書の作成などを行う必要がないということです。そのため比較的時間をかけずに建て替えを進めることができます。ただし、この敷地売却制度を利用するには、建て替えようとするマンションが耐震性不足の認定を受けた場合に限ります。

等価交換方式による建て替え

この方法は、デベロッパーが土地と建物を買い取るところまでは敷地売却制度と同じですが、そのあとの新しいマンションの所有権の部分で違いが出てきます。等価交換方式の場合、新しいマンションの出資比率によって所有権が決まります

たとえば新しいマンションの費用が10億円で、旧マンションの売却額の合計が5億円、デベロッパーが負担した額が5億円だったとします。この例の場合半分ずつ負担しているので、新しいマンションの所有権の半分はデベロッパーが取得することになります。この方法は、権利の保全問題や抵当権の扱いなどが難しいというデメリットがあります。

マンション建て替えるための流れ

マンションを建て替えるには、そのマンションの所有者同士が話し合い、合意を得、計画する必要があります。その大まかな流れを説明していきたいと思います。

所有者の要望を取りまとめる

建て替えのニーズが発生した際、まずは区分所有者の要望を取りまとめることからはじめます。これは建て替えの準備段階となります。ここで区分所有者が組合を設置して意思を決定していくパターンと、デベロッパーなどに計画をお願いするパターンなどに分かれることになります。ここでは、マンションの所有者で組合を設置するパターンで説明していきます。

建て替えを検討する

マンション建て替え組合を設置し、建て替えに必要な情報を集め、自分たちに合った適切な方法は何かを検討します。状態によっては、建て替えではなく修繕で済む場合もありますが、建て替えの方向で進めたい場合、建て替えを計画することへの合意を得ることが重要となります。最終的には建て替え決議を開き、5分の4以上の賛成を得ることによって計画がスタートします。

具体的な計画を考える

ここでは、建て替えの手法だけでなく、その予算や必要な期間、また建て替えを行う事業者の選定などを行います。新しいマンションの計画や、権利等を含めた事業計画を具体的に策定します。ここでも最終的に建て替え決議を開き、組合の意思を確認します。

{
・建替の要望をまとめる
・建替の方法を調べる
・建替の計画を練る
}

マンションを建て替える必要性

そもそもなぜ建て替える必要があるのでしょうか?ここでは、建て替えが必要になっている現状とその理由を探っていきます。

マンションの寿命

マンションの寿命は、法定耐用年数で見た場合47年となります。マンションの大部分を構成しているコンクリートは、物理的には100年以上は持つと言われています。しかし、マンションが建てられた時点での法令や、時代背景などによって、寿命を迎えていないのにもかかわらず、建て替えの必要があるマンションが存在します。

耐震性の問題

耐震基準は、大きな地震が発生するたびに改正されています。その中でも大きな改正が行われたのは1981年で、これ以降の基準を新耐震基準、それ以前を旧耐震基準と呼びます。旧耐震基準で建てられたマンションでも、耐震補強工事を行うことによって、新耐震基準を満たせる場合もあります。しかし、実際にはこの補強により耐震性が基準を超えるマンションは1割に留まるといわれています。

旧耐震基準で建てられたマンションは約106万戸で、その8割近くが耐震性がないと判断されています。このような場合には建て替える必要があるため、耐用年数を超えていない築30年前後のマンションが立て替えられる事例が多くなっています

時代背景による建て替えの必要性

マンションの老朽化に影響を与えるもののひとつとして、修繕の有無があります。1970年代は高度成長期として知られていますが、このころに建てられたマンションは、長期修繕計画に基づいて修繕が行われなかったことや品質の問題により、計算されていた寿命より早く老朽化が進み、建て替えの必要が発生します。

建て替えはなかなか行われない

建て替える理由はさまざまですが、実際に建て替えが必要なマンションは多く存在します。しかし、実際に建て替えを行っているマンションはごくわずかです。国土交通省の調べによると、築30年~50年の古いマンションの住戸数は約172万戸とされていますが、2017年までに建て替えが実施されたマンションは、工事中のマンションを含めてもたったの234件となっています。

{
・耐震性の問題
・維持管理の問題
・建替えの現状
}

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マンションの建て替えが進まない理由とは

マンションが建て替えられる例は少ないのが現状ですが、なぜこれほどまでに建て替えが進まないのでしょうか?その理由を探っていきましょう。

建て替えにかかる費用

古いマンションを新たに建て替えるためには、マンションの所有者が新しく建てるマンションの建設費を負担する必要があります。この費用は、一般的な60平米のマンションで1,000~2,000万円かかるといわれています。建て替え費用は、再建築の費用だけではなく、旧マンションの解体費が発生するため高額になりえます。

5分の4以上の賛成が必要

マンションの建て替えには、区分所有者の5分の4以上の賛成が必要となります。マンションの所有者の中には、できるだけ修繕で済ませたい人や、住宅ローンが残っているなどの理由で建て替えに反対の人が出やすいです。特に高齢者の場合、先のことを考えると、これから何十年もそこに住むわけではないため、現状を維持したいと思うことは自然なことです。

建て替えが実行されるまでに時間がかかってしまう

マンションを建て替えを行うためには、マンションの住民の意見をまとめることから始まり、協議、決議、計画、交渉など多大な労力と時間を要します。この大変な事業を、マンションの住民が一丸となって行うことが求められます。住民の中には、忙しくて建て替えの計画に時間を割いていられないという人もいるでしょう。

また、実際に建て替えられたマンションの中には、建て替えを検討してから実際に建て替えられるまで、30年かかってしまう例もあります。このように、マンションの所有者の個々の事情により、なかなか建て替えの方向へ話が数まないケースが多いのが現状です。

建て替えられない場合、マンションの維持管理が行われなくなり、スラム化する恐れがあります。これは、多くのマンションが老朽化を迎える現代の、大きな社会問題となっています。

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{
・建替の費用
・5分の4以上の賛成
・多大な労力と時間
}

マンションの建て替えの成功例

建て替えを行うことが難しいマンションですが、成功しているケースもあります。うまく建て替えを行えた実例を参考に、建て替えを成功させるコツを見ていきましょう。

戸数を増やすことによって費用を安くする

マンションを新しく建て替える場合、戸数を増やしその住戸を売却することによって、その売却益を建て替え費用に充てることができます。

「オーベルグランディオ萩中」の例

東京都大田区にあるオーベルグランディオ萩中は「市外住宅総合建設制度」を利用して新しく建設するマンションの戸数を減らしました。その結果、建て替え費用を安く抑えることができました。建て替え後の住戸を少し小さいものを選んだ場合、費用の負担なしに移り住むことができるほどだったようです。

「エアヒルズ藤沢」の例

神奈川県藤沢市にあるこのマンションは、170戸あったマンションを360戸ある新マンションへと建替えました。このマンションの例も、部屋を小さくすることで費用を負担することなく新しいマンションへ移り住むことが可能でした。以前より広い部屋を選択した住人は、追加料金を支払うことによって買い増すことができたそうです。

都道府県の助成金を利用する

各都道府県や市町村が、耐震化を促進するために行っている助成金制度を利用して、よりスムーズなマンションの建て替えを行っているケースがあります。

「アトラス押上」の例

東京都墨田区にあるこのマンションは、耐震化に対しての補助制度を利用し、建物の解体費用のほとんどをまかないました。このように、マンションがある都道府県または市区町村の補助金制度を利用できるケースであれば、住民の負担を軽くすることができます。

マンションの敷地の一部を売却する

建て替え費用を捻出するために、マンションの土地の一部を売った例があります。この方法は、土地に余裕をもって建てられたマンションでしか行うことはできませんが、住民の費用負担を軽くした一つの方法として紹介します。

ブランシエラ池田石澄

大阪府池田市にあるこのマンションは、マンションの敷地の一部を一戸建て用の土地として売却することで、住民の費用負担の軽減を図っています。この地域は一戸建ての需要が高かったため、マンションとして建て増すより、一戸建て住宅の土地として売却した方がよいという条件だったようです。

建て替えを成功させるカギは容積率制限

建て替えを成功させるためには、住民の費用負担をできるだけ軽くする必要があります。そのため新マンションの戸数を増やしたり、土地を売ったりして建て替えの資金を集めることが大事です。しかし、こういった方法が実行できるのは、土地に余裕があるマンションだけです。

土地面積に対しての建物床面積の比率を容積率といいますが、この容積率には制限があり、どのマンションも簡単に戸数が増やせるというわけではありません。条件に恵まれているマンションのみが、売却するための住戸を増やすことができるのです。

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{
・住戸増で資金調達
・土地売却で資金調達
・土地の余裕が必要
}

マンションの売却も検討しよう

長年住んできたマンションが老朽化し、建て替えもできないというパターンを避けるための方法として、中古マンションを早めに売却するという方法もあります。築年数が経過し売れなくなる前に、中古マンションを手放してしまうというパターンも検討してみましょう。

将来のライフスタイルの変更も考慮し、老後のための新しい住居を探してみるのもよいかもしれません。まずは無料一括サイトなどで、だいたいの査定額をチェックしてみましょう。

売却できる価格がわかれば将来の計画が立てやすく、将来もイメージしやすくなります。これからの社会情勢の変化に対応するためにも、柔軟な選択ができるよう備えておきましょう。

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建て替えの知識を身に付け、長期的な計画を

マンションは他の住居の例にもれず、年数が経過すると必ず劣化しいつかは建て替える必要が出てきます。しかし、マンションを建て替えるための作業は、とても労力が必要で時間もかかります。また、たくさんの住民の同意を得る必要があり、なかなか達成することが難しくなっています。

建て替えができないケースのことも考慮し、マンションを売却するなどの別の方法も考えておきましょう。子供の成長や、転勤、老後などのライフスタイルの変化に伴い、求める住居の形も変わっていくものです。将来の不安を減らすという意味でも、長期的な視点でマンションを選ぶことが需要です。事前にマンション建て替えの知識を身に付け、マンションの老朽化に備えるようにしましょう。