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住宅ローンの残高を気にせずに支払っていないか|思わぬ損の恐れ

住宅ローンを組んでから、毎月返済額の支払いを続けてはいるものの、残高を気にしてこなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。「こつこつ返済しているから大丈夫」と思いたいところですが、実際には「返済しているつもりだったのに」という後悔の声も少なくありません。そのような後悔をしないために、住宅ローンの残高を把握することの重要性を解説します。

住宅ローンの残高は気にするべき

消費者金融からの借金であれば絶対に残高を確認するはずです。しかし、住宅ローンは毎月の支払額が一定のプランがあり、半ば家賃のような位置づけで考えている人も多いため、確認していないこともあるでしょう。とはいえ、住宅ローンも借金です。残高を気にしていないうちにシミュレーションしたときより総支払額が増えているということもありますから、しっかり確認しましょう。

住宅ローンの金利は元金の残高に乗じている

住宅ローンの金利は、2018年12月現在、変動金利が0.4~0.6%、固定金利で1.5%程度が主流です。この金利を元金の残高に乗じて利息額とするため、残高が減らなければ利息額は高いままです。残高を気にせずに毎月の支払を続けていると、利息ばかりを支払って元金の残高が全然減っていないということもあり得ます。これでは返済と呼べません。

残高証明書は必ず確認する

残高証明書は、銀行や金融機関にもよりますが、毎月あるいは年1~4回の定期発行を選べるようになっています。また、必要に応じて窓口で発行してもらうこともできます。この残高証明書を確認すれば、現在の元金の返済がどの程度進んでいるかを把握することができるため、できるだけ定期的にチェックしましょう。

借入先のウェブサイトで確認

ネット銀行系の住宅ローンや大手銀行であればウェブサイトから借入内容を確認できることが多いです。借入時にログイン情報等が渡されているはずですから、これを機に利用してみましょう。改めて確認すると、思いのほか残高が減っていなくて驚くことがあります。

 

・残高に金利がかかる
・残高証明書を確認
・ウェブサイトも活用

不動産の売却と住宅ローンの残高の関係

マイホームの売却と住宅ローンの残高は切り離せない関係にあります。なぜなら、住宅ローンが残っている建物や土地を売ることはできないからです。残高によってはマイホームを手放してもなお返済が続くという事態にもなりかねません。どういうことなのかを詳しく把握しましょう。

住宅ローン残高を完済しないと売れない

住宅ローンを組むときは、購入する不動産を担保にします。つまり、不動産の登記に抵当権が打たれるということです。そして、不動産を売却する際には住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権を抹消するためにはローンを完済する必要があります。不動産売却に関しては売却前に完済するというより、売却と同時に完済することになるでしょう。これは、不動産の売買契約が成立して売上額を得る時点と、次の所有者に登記を移すまでの時間差を利用する方法で、売却額をローンの完済にあてることができます。

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売却しても残債がある場合は自己資金で完済する

売却額が住宅ローンの残高を上回ってくれれば完済は容易ですが、多くの場合は自己資金もプラスして完済することになります。住宅ローンを毎月返済している間は気にならなかった残高も、売却など一括で支払うときが来れば、その重要性に気付くはずです。それでは遅いため、残高は常に気にするようにしましょう。

任意売却と競売

毎月の返済が滞りなく行われている場合の売却であれば、通常の売買で済みますが、返済が滞っている場合は任意売却か競売が行われます。

競売

競売はよく耳にするイメージの通り、抵当権を売っている金融会社が裁判所に差し押さえを申請し、裁判所によって強制的に売却が行われるものです。競売は早く金銭に換えることが目的であるため、通常の売買で成立する販売価格よりも20%ほど低い金額になってしまいます。

任意売却

任意売却は競売とは違い、差し押さえや強制的な売却はありません。一般的な不動産売買と同じような流れで進行し、市場価格で納得してから売ることができます。そして、売却額で完済できない残高があっても、抵当権を抹消してくれるという仕組みです。

競売も任意売却も借金は残る

しかし、競売にしろ任意売却にしろ残高は返し続けなければなりません。そして、このどちらも「借金を返せなかった人」として信用情報に記載されてしまいます。こうなると、自動車のローンやクレジットカードの新規申し込み、子供の奨学金の保証人になる際に審査で落とされてしまうはずです。任意売却や競売は最終手段であり、その手前で対処できるように住宅ローンの残高を把握しておかなければなりません。

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・売却は完済後
・抵当権の抹消が必要
・売却額と残高に注意

返済を続けているのに残高が減らない状況とは

毎月きちんと返済額を納めているのに、住宅ローンの元金の残高がほとんど減っていないということがあります。この理由は「元利均等方式」と「変動金利」のシステムが要因です。なぜ支払っているのに残高が減らないのかを把握しておきましょう。

元利均等方式で返済している場合

元利均等方式の場合、毎月の返済額は一定ですが、最初の数年分はほとんどが利息の支払いだけで、元金の返済はあまり進んでいない状況です。それでも継続することによって、徐々に元金が返済され、最終的には利息分の金額が少なくなります。

元利均等方式による返済でネックになるのは、購入から数年で売却する場合です。数年間はほとんど利息分の支払いだけということは、売却時に一括返済しなければならない元金分が、かなり残っているということを示しています。売却額を高く設定して売り抜けることができれば完済もできますが、そう上手くいくとも限りません。数年での売却を視野に入れるのであれば、元利均等方式にして良いものか考える必要があります。

変動金利の未払い利息の恐れ

変動金利は2018年12月現在、ネット銀行系を含めると0.4~0.6%程度となっています。固定金利やフラット35が1%以上の金利であることを考えると、かなりお得な数字に見えます。とはいえ変動金利ですから、ずっとこの数字が固定されるわけではありません。変動金利でも5年間は返済額が一定ですが、金利は半年ごとに見直されます。

この金利の見直しによって、金利が大幅にアップしてしまうと毎月の利息額が毎月の返済額を上回る恐れがあります。こうなると、返済額は5年間変えることができないため未払いの利息が発生します。さらに、毎月返済しているつもりで支払をしているのに元金は1円も減っていません。

元金が減っていない以上、元金に対してかかる金利によってますます未払い利息が増えていきます。元金が減らないどころか総支払額が高くなるばかり。こうなる前に借り替えを行うか、繰り上げ返済で解消する必要があります。

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・元利均等方式を知る
・未払い利息のリスク
・早めの対処が肝心

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住宅ローンの残高を減らすことはできるか

住宅ローンの残高を減らす方法は、返済しかないというのが結論です。ただし、制度やサービスを利用することで残高を減らすこととと似たような効果が得られることがあります。3つの方法を見てみましょう。

繰り上げ返済

一般的に残高を減らすには、返済を続けるか繰り上げ返済しかありません。繰り上げ返済というと、以前は手続きが面倒かつ手数料も多く取られていたため、実際に得をするのかよくわからないというケースもみられました。しかし、現在はインターネット上でも手続きが可能になり、手数料もそれに応じて下がっています。

元金の残高に対して金利がかかっていることを考えれば、手元のお金に余裕があるときに繰り上げ返済しておくことは一つの手段です。ただし、繰り上げ返済した分のお金は使えなくなってしまうため、生活を切り詰めてギリギリの状態で実行するのはおすすめできません。あくまでも余裕があるときの手段といえます。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は住宅ローンの残高そのものを減らすわけではないのですが、自身の収支全体で考えたときに役立ちます。確定申告で住宅ローンを控除してもらえれば所得税の徴収額が減り、その分の金額を返済にあてることが可能になるからです。

2014年1月1日から2021年12月31日までに居住した新築の場合、控除期間は10年で、毎年末の住宅ローンの残高に1%を乗じた金額を控除してもらえる制度です。上限は40万円となっています。この控除を受けるためには確定申告書に「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を添付する必要があります。

繰り上げ返済しないほうが得をするケース

住宅ローン控除を利用することを考えると、返済開始から10年間は繰り上げ返済をしないほうが良いかもしれません。一般的には借入金利が1%未満の場合においては、繰り上げ返済せずに住宅ローン控除を最大限活用するほうが得をするといわれています。

これは、住宅ローン控除の計算方法が「年末の残高×1%」だからです。金利が1%未満であれば、単純計算で控除額のほうが大きいということになります。1%未満の金利は、近年で変動金利を選択している人であれば可能性が高いでしょう。

とはいえ、控除の恩恵で戻ってくる所得税や住民税の額は人によって異なります。自身の借入内容に基づく利息額と戻ってくる所得税+住民税とを比較して、得するほうを選択することが大切です。

預金連動型住宅ローンを検討する

預金連動型住宅ローンは取り扱う金融機関が限られますが、自由に使えるお金を手元に残しておきたい人に有用な手段です。たとえば、借入金額が3,000万円で預金額が1,000万円だとします。通常の住宅ローンでは3,000万円の元金に対して金利がかかりますが、預金連動型住宅ローンでは預金額を差し引いた2,000万円に金利がかかります。預金にも関わらず繰り上げ返済と同じ利息の効果を得られるわけです。

預金の1,000万円もなにかあれば引き出せます。繰り上げ返済で1,000万円を支払ってしまうことと比べれば、有事のときに引き出せるお金があるという点で精神的負担が異なるでしょう。これだけでも預金連動型住宅ローンへの切り替えは検討する価値があります。さらに、住宅ローン控除は借金の額によるため、3,000万円が対象となります。

デメリットと比較する

メリットが多く見える預金連動型住宅ローンにも、デメリットがあります。預金連動型住宅ローンの場合、預金に対して利息はつかないことが多いです。住宅ローンの金利も1%程度で、2018年12月現在の変動金利0.4~0.6%と比べると高めといえます。これらの金額と比べて得をするかどうかで考えましょう。

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・繰り上げ返済する
・住宅ローン控除を利用
・預金連動型住宅ローン

返せないと諦める前にとるべき行動

住宅ローンの残高を確認した結果、思いのほか返済が進んでおらず、金利の変動などによっては返済を諦めたくなることもあるでしょう。

しかし、任意売却や競売になってしまう前に行動すれば、一気に状況を好転させられるかもしれません。まだその状況の想像がつかない人も、把握しておいて損はないため、手段として覚えておくことをおすすめします。

借り換えを検討する

最初に固定金利で住宅ローンを組んだものの、その当時の金利が高く、近年の変動金利の推移を見る限りでは借り換えをしたほうが得をするケースもあります。

今後の金利上昇リスクは否めませんが、現在の残高と金利の状況によっては数百万円規模で差が出るるかもしれません。ファイナンシャルプランナー(FP)に相談して検討してみましょう。

返済が遅滞する前に行動することが重要

借り換えを検討するとしても、次の金融会社が「この人は返済能力がある」と判断してくれなければお金を貸してはくれません。

そのため、現状の住宅ローンで返済を遅滞した形跡がある場合、審査で落とされる可能性が極めて高いです。実際に遅滞してしまう前に、住宅ローンの元金残高と現在から今後の金利で試算し、遅滞するリスクが高いと判断できた段階で借り換えに向けて動きましょう。

返済期間の延長

返済期間を延長すると月々の返済額は下がります。その分、金利は長期化するほど上がり、残高の減りも鈍くはなりますが、収入が減少した場合にはやむをえません。

また、場合によっては金利を下げてくれる可能性もあります。これは交渉次第で「借り換えをされてしまうくらいなら、金利を引き下げてあげよう」と思わせられるかどうかにかかっています。

・借り換えを検討
・借入先と交渉する
・諦める前に行動

残高を考えつつ住宅ローンを返済しよう

住宅ローン控除の試算や他の金融会社への借り換え、マイホームの売却など、さまざまなシーンで住宅ローンの残高は出てきます。とくに売却する場合には、値段設定にも大きく関わってくる部分です。返済を続けてきたのに、実は残高は減っていなかったということが、売却の意志を固めたあとで発覚すると手順が狂ってしまいます。

売却も借り換えも、将来の自分がどのような決断をするかは、そのときになってみなければわかりません。しかし、いざという時になるまで知らないままだと損をしてしまう恐れがあります。自分が背負っている借金であることを念頭におき、定期的に残高を把握しましょう。