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マンションの相続税とは?計算方法と適用される控除について解説

資産を相続する際には、相続税という税金を支払わなければなりません。これは現金から不動産まで幅広く対象となっており、マンションを譲り受ける場合も相続税が課税されます。

マンションの相続税は状況によって金額が異なるため、相続する予定があるならあらかじめ税額を計算しておくことが大切です。事前に相続税を計算し、少しでも税負担を抑える方法を把握して、スムーズに相続を行いましょう。

マンションの相続税評価額の計算方法

相続税を計算するには、まずは「相続税評価額」を計算しなければなりません。計算のプロセスは、次の3つです。

  • 建物の価値を調べる
  • 土地の価値を調べる
  • マンションの相続税額を算出する(建物・土地の評価額をもとに)

手順を踏んで一つずつ計算していくと、相続税評価額及び、相続税額の概算が可能となります。

建物の価値を調べる

マンションは建物部分と土地部分に分けられるため、まずは建物部分の価値を調べましょう。建物部分の相続税評価額は、固定資産税の評価額と同じです。固定資産税の評価額の計算方法は複雑なため、正確に算出することは難しいですが、購入価格の70%で計算するとある程度の金額は算出できます。

また、正確な金額は固定資産税の納税通知書に記載されています。納税通知書があるなら、これを確認することがもっとも手っ取り早く確実です。

土地の価値を調べる

土地部分の評価額も固定資産税の納税通知書で確認できますが、建物よりは計算が簡単なため、自分で算出することも可能です。土地の価値を調べる方法は2つあり、路線価が定められているかどうかで異なります。

路線価が定められている場合と、定められていない場合の2パターンでの、価値の算出方法を知っておきましょう。

路線価が定められている場合

国税庁によって路線価が定められている場合は、路線価と土地の面積をかけることで、土地の価値が算出できます。路線価は国税庁のホームページの路線価図で確認できます。ただし、ここで算出した価値はマンションの土地全体の価値であるため、これを自分が相続する分の割合に当てはめなければなりません。

マンション全体を保有しているわけではないなら、部屋の面積に応じて持ち分割合が設定されています。登記事項証明書を確認すると、マンションの持ち分割合は分かるため、土地の評価額に持ち分割合をかけて敷地利用権の評価額を算出しましょう。

持ち分割合をかけていないとマンション全体の土地の価値で計算してしまうことになり、実際の相続税評価額と大幅な違いが出てしまうため注意が必要です。

参考:路線価図

路線価が定められていない場合

郊外など一部の地域では、路線価が定められていないことがあります。この場合は財産評価基準書によって定められている税率を使用して、土地の価値を算出します。財産評価基準の倍率は地域ごとに異なるため、該当する部分の倍率を確認しておくことが大切です。

固定資産税の評価額に財産評価基準の倍一と持ち分割合をかけると、路線価が定められていない土地の価値も算出できます。

参考:財産評価基準書

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マンションの相続税額を算出する

建物と土地、それぞれの総増税評価額を算出したところで、全体の相続税評価額を求めていきます。まず相続税額は、次の計算式で求められます。

相続税額=(相続財産の時価評価額-控除額)×税率

建物と土地の時価評価額は、それぞの評価額を足して求めます。控除額はどれを利用するかによって異なるため、その都度適用できるもので考えます。税率は金額によって異なり、次のように設定されています。

  • 1,000万円以下:10%
  • 3,000万円以下:15%
  • 5,000万円以下:20%
  • 1億円以下:30%
  • 2億円以下:40%
  • 3億円以下:45%
  • 6億円以下:50%
  • 6億円超 :55%

税率15%以上はそれぞれ控除額が定められているため、これも考慮に入れて計算します。相続税は相続する財産の資産価値に対してそのまま課税されるわけではなく、評価額や控除、税率を考慮して求められることは覚えておきましょう。

マンションの相続税を計算する2つのポイント

同じ住宅でも戸建てとマンションでは性質が異なり、相続税を計算する時のポイントも異なります。マンションの相続税を計算する際には、次の2点を意識しておかなければなりません。

  • 専有部分だけでなく共用部分も含める
  • 相続税の評価は土地と建物で別になる

事前の計算で失敗することのないように、ポイントは正しく把握しておきましょう。

専有部分だけでなく共用部分も含める

マンションの1室を購入している場合は、自分の部屋が専有部分で、廊下やエントランスなどが共用部分となります。相続税を計算する際には専有と共用の両方を含めて計算する必要があり、そのために持ち分割合をかけて金額を算出します。

相続税の評価は土地と建物で別になる

土地と建物の評価は別々に考える必要があり、これらは分けて計算するようにしましょう。まとめて計算すると誤差が出てしまう可能性があるため、別々に計算したものを最後に足して考えることが大切です。これはマンションに限らず、戸建てでも同じであり、同じ不動産でも土地と建物は別物と考えなければなりません。

マンションの相続税評価額の算出例

より具体的にマンションの相続税評価額への理解を深めるために、算出例を見ながら計算方法をおさらいしていきましょう。土地と建物それぞれの部分で計算する必要があるため、両者の算出例を確認しておくことが大切です。

土地の相続税評価額の場合

まず相続する土地の条件を、次のように設定します。

  • 平方メートル当たりの路線価:50万円
  • マンション全体の面積:1,267.65平方メートル
  • 持ち分割合:439931分の7426

最初に土地全体の価値を算出するために、マンション全体の面積と路線価をかけます。

マンション全体の面積:1,267.65平方メートル×平方メートル当たりの路線価:50万円=6億3,383円(万円以下四捨五入)

さらに相続する部分のみの評価額を算出するために、マンション全体の評価額に持ち分割合をかけて計算しましょう。

マンション全体の評価額:6億3,383円×持ち分割合:439931分の7426=1,070万円

最終的に求められた1,070万円が、持ち分に応じた土地の相続税評価額です。

建物の相続税評価額の場合

マンションの建物部分の相続税評価額は、固定資産税の評価額と同額です。そのため、固定資産税評価額を600万円と仮定するなら、建物の相続税評価額は600万円となります。これに先ほど計算した土地の相続税評価額の1,070万円を足した1,670万円が、土地と建物両方を含めたマンションの相続税評価額です。

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マンションの相続税に適用できる2つの控除

資産を相続する際には、相続税評価額に税率がかけられて金額が決定しますが、この時控除があるとその分の金額を差し引き、税負担を引き下げられます。マンションの相続では、基礎控除と配偶者控除の2つが適用できます。それぞれ内容が異なるため、詳細な条件まで把握しておかなければなりません。

全ての人が受けられる基礎控除

相続税には基礎控除があり、これは全ての人に適用されます。基礎控除の計算式は「3,000万円+相続人の数×600万円」であり、相続人が多いほど控除額は大きくなります。

法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

法定相続人が5人以上になる場合は、1人増えるごとに控除額が600万円加算されます。法定相続人は配偶者や父母などの直系尊属、兄弟姉妹が該当します。相続評価額が基礎控除額以下なら非課税となるため、税負担はありません。

配偶者が受けられる配偶者控除

遺産を相続する配偶者は、配偶者控除が受けられます。配偶者控除は「1億6,000万円」か、「配偶者の法定相続分相当額」のどちらかの金額で適用されます。より大きい金額になるほうを適用できるため、配偶者控除を使うと相続税がかからないことも多いでしょう。

法定相続分は法定相続人の数によって決まり、例えば相続人が配偶者しかないなら財産全てとなります。配偶者に加えて第1順位の相続人がいるなら、配偶者の法定相続分は財産の1/2です。相続人が増えると法定相続分の割合は減少します。

マンションの相続税を減らすための対策方法

基礎控除や配偶者控除を適用することで、相続税が発生する可能性を下げられますが、相続する遺産の内容次第では控除分を超えて課税対象になることもあります。

もし課税対象となる場合でも、節税の方法はあるため、上手に対処して少しでも税負担を抑えることが大切です。

小規模宅地等の特例を適用させる

相続人と被相続にが同居していた場合、つまり遺産を残す人と相続する人が同居していたなら、「小規模宅地等の特例」が適用できる可能性があります。これは相続する土地が330平方メートル以下なら、土地の評価額を80%減額できる制度です。

分かりやすい計算例を挙げるとして、マンション全体の土地が1,000平方メートルで、持ち分割合が100分の1だったとします。この場合は相続する土地は10平方メートルとなるため、小規模宅地等の特例が適用でき、評価額を80%まで引き下げられます。

建物部分に適用できる制度ではありませんが、地価が高い場合には有効であり、土地の価値が高いほど、適用できるかどうかで課税額は大きく違ってくるでしょう。

相続したマンションを売却する

相続したマンションに居住、あるいは単に保有する場合は評価額と税率に応じた相続税がかかりますが、売却する場合は売却価格が時価となります。つまり、現時点でのマンションの価値ではなく、売却価格が評価額となるため、売却価格が現時点の評価額を下回ると、課税対象が縮小されるため相続税が安くなります。

ただし、もし現時点の価値よりも高値で売れると、課税対象が大きくなり、余計に相続税がかかってしまうため注意しなければなりません。あくまで相続時の価値よりも売却価格が低くなることが前提のため、一度価値を計算し、売却する時の価格がそれより低くなりそうか、確認しておく必要があります。

マンションを購入しておく

相続する資産のほとんどが現金になるなら、事前にマンションを購入し、不動産化して相続することで税金を安くできます。現金だとそのままの金額が課税対象となりますが、不動産なら評価額で計算されるため、購入価格よりも課税対象が縮小できます。

例えば1,000万円で購入したマンションは、評価額上は1,000万円を下回るため、その差額分だけ現金で相続するよりもお得になるでしょう。

マンションは建物は50~70%程度、土地は80%程度の評価額になるため、節税効果は高いです。また、購入したマンションを賃貸物件にして相続すると、評価額を30%引き下げることができ、さらにお得になります。

マンションの相続税対策に関する3つの注意点

失敗なく相続税対策を行うには、次の3つの注意点を頭に入れておかなければなりません。

  • 早めに専門家に相談する
  • 相続直前のマンション購入は指摘される可能性あり
  • 相続税の支払いは10カ月以内

相続税のことでトラブルを招いたり、失敗して損をしたりしないためにも、細かいポイントまで正しく理解しておきましょう。

早めに専門家に相談する

相続対策で不動産を購入したり、相続した不動産を売却、賃貸などで活用したりするなら、早めに専門家に相談することが大切です。不動産や相続の手続きは専門知識が必要なことも多く、素人が自己判断で相続や売却、収益化などをやってしまうと失敗することも少なくありません。

不動産会社に相談すると不動産の正しい扱い方を教えてくれたり、相続税対策としておすすめな物件を紹介してくれたりするでしょう。また、売却の際にも助けになってもらうことができ、必要に応じて不動産に造詣のある税理士や弁護士を紹介してくれることもあるため、早めに相談することが大切です。

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相続直前のマンション購入は指摘される可能性あり

同じ相続をするなら現金ではなく、マンションなど不動産を購入して相続すると、税金は安く抑えやすいです。しかし、相続直前に不動産を購入するのは注意が必要であり、相続前の時期と購入日があまりにも近いと、税務署からの指摘を受ける場合があります。

税務署からの指摘を受けると、直近で購入した不動産は評価額ではなく時価、つまり購入価格での申告が求められるため、結局現金の相続と同じになってしまいます。

節税のために不動産化するのはおすすめの方法ですが、ぎりぎりになると利用できない可能性があるため、購入するなら早めに動き出しておかなければなりません。

相続税の支払いは10カ月以内

控除や税率などを使って計算した結果、相続税が発生する場合は、相続開始から10カ月以内に支払いをしなければなりません。納付期限を超過してしまうち、延滞課税がかかるため注意が必要です。延滞課税は銀行金利で変動しますが、超過から2カ月までの間は年利3~4%程度、2カ月以降は年利8~9%程度かかります。

また、相続の申告をしなかった場合も罰金が発生するため、これも必ず行わなければなりません。申告期限も相続開始から10カ月以内であり、これを超過するとペナルティが発生します。

税務署に指摘される前に申告した場合は5%、指摘されてから申告した場合は15~20%と罰則は重たいため注意が必要です。

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早めの対策でマンションの相続税を引き下げよう

遺産相続時に課税される相続税は、事前の対処次第で減額したり、非課税にしたりできます。特にマンションは減税制度が適用できる可能性があるため、どれが適用できるか確認しておくことが大切です。

相続税の計算や相続した資産の活用、処分方法などをあらかじめ検討しておき、スムーズかつ損なく相続を行いましょう。